先週の土曜日27日に、研修会を見学に行ってきました。
NPO法人でもある、日本瓦葺技能継承甍会(通称:甍会)の初級伝統的瓦葺技能研修会。こちらは、年に数回行われている移動研修会の初級の部と言うことですが、普通の瓦施工に関しては各自問題ない程度の腕の持ち主だと思われます。
★甍会とは⇒NPO法人 日本瓦葺技能継承甍会 http://www.npo-iraka.jp/
日本人の日本人たる心を育む日本建築、その日本文化とも言える、寺社建築・日本伝統建築の一端を担う瓦葺の技術は、瓦渡来より1400年の時を経て脈々と受け継がれて来ましたが、昨今の生活の多様化に伴い、建築物も急変し多様化の一途、洋風建築の蔓延等、建築物に対する日本瓦の激減に拍車が掛かり、日本古来の瓦葺き技能・技術の継承が非常に懸念される時代となり、当然、後継者育成にも弊害が出て来ています。また、後継者育成指導者の高齢化、一部の地域への偏り、それにより、全国に広がる地域文化財の維持管理にも多大の影響が現れています。日本建築、特に寺社建築の瓦葺特殊技能は高度の技術を要し、無形文化財とも言える程の技能が必要であるにもかかわらず、場合によっては技術者と呼ぶには程遠い施工者が修復に携わるなど、このままでは技能衰退の一途を辿ると、将来において大変危惧する時代となりました。NPO法人(特定非営利活動法人)日本瓦葺技能継承甍会はこのような現状を改善・打破すべく、地域文化財保存並びに伝統技能の研究、調査、保存、管理の重要性を訴えると同時に、地域社会に、文化・人・物作りの根幹を築く一助を担い、後継者の育成に努め地域の文化財建造物の保存事業の推進に寄与し、もって我国の文化的向上に資する事を目的とする。 |
その職人さん達が、寺社仏閣等の専門的な施工技術を学ぶために、泊りがけ(二泊三日)で研修に来ているのです。
参加人数は12名(限定)です。
こちらの研修会に、大阪府瓦商工業協同組合の青年部から、有志数名で見学にお邪魔致しました。
今回の研修会は大阪での開催で、会場となっているのは、和泉市のテクノステージ和泉にある大阪府立南大阪高等職業技術専門校内の人材開発センター。
★テクノステージ和泉とは⇒http://www7.ocn.ne.jp/~kibankyo/techno/techno.html
1993年(平成5年)の阪和自動車道堺IC-岸和田和泉IC間開通、1995年(平成7年)の泉北高速鉄道和泉中央駅開業を機に、和泉市では市の産業活性化のため南松尾地区に工業団地を設置し、本格的な企業の誘致を始めた。それがテクノステージ和泉である。 泉北地域の第2のニュータウンであるトリヴェール和泉の南西に位置し、岸和田和泉ICと国道170号(大阪外環状線)に近接する。設置当初はまだ社会の認知度が低く、進出する企業が少なかったが、トリヴェール和泉の人口増加も相まって次第に企業の進出が進み、認知度も高くなっていった。現在では多くの企業が立地し、大阪府下の郊外型工業団地としては有数の規模を誇るまでに至りつつある。和泉市内はもちろん、泉大津市、忠岡町、岸和田市、高石市、堺市、河内長野市、大阪狭山市、大阪市など、市外からの通勤者も少なくない。 |
★大阪府立南大阪高等職業技術専門校とは⇒http://www.pref.osaka.jp/tc-miosaka/top-page/
平成18年4月大阪府和泉市テクノステージ和泉に職業能力開発に新風を吹き込む技術専門校が誕生しました。大阪南部地域における中核的施設として、歴史深い和泉の地で通信・環境・整備分野の技術者を養成する職業訓練を実施しています。 【求職者の方を対象に】 お仕事を探している方を対象に、職業訓練(6か月から2年の期間)を行い、就労のご支援をしています。 【在職者の方向けに】 お仕事をされている方を対象に、短期間の「テクノ講座」を実施し、資格取得やとスキルアップのお手伝いをしています。 【企業、団体の皆様に】 企業、団体の皆様を対象に、施設設備の一部を職業能力開発、技能検定のために貸し出しています。 |
一際広い敷地に広い駐車場を備え、多数の会場やホールがあります。
借りていたのは、人材開発センターというこちらの建物。
中はこのようになっています。
参加者限定12名、架台も2台なので、十分過ぎるくらいの広さです。
場所柄、架台の搬入等が大変かもしれませんが、専用の訓練校実技場を持たない大阪(大阪府瓦葺高等職業訓練校)としては、是非お借りして検定を行いと思いましたが、聞けば西日本各地から結構な申込みがあって、検定の多い1~2月はかなり前から予約しておかないと空きがないそう。
そらそうですよね、これだけの施設ですもん。
肝心の研修架台がこちら。
寺社の稚児棟付の隅降棟で、仕様は・・・
★隅降棟 – 3~6段
★稚児棟 – 2~4段
★素丸伏せ、鳥衾使用
★鬼瓦は木製使用
詳しい仕様に関しては、資料をいただきました。
残念ながら、台熨斗を葺いて水糸を張るところぐらいまでしか見れませんでしたが、施工前に現寸図を書いたり、削ぎ熨斗を鏨(たがね)で削って製作したりと、さすが伝統的技能に相応しい内容ではなかったかと思われます。
こちらは、左から甍会理事長の塚本氏(株式会社瓦粋)と、大阪の青年部のメンバー、野水氏(野水瓦産業株式会社)、正木氏(株式会社瓦柾)、藤本氏(藤本窯業株式会社)の面々。
技能習得のためには、それなりの費用と膨大な時間(年数)が掛かります。
そして、敢えてその道を進む職人さん達には、敬意を表したいと思います。
昨今では、瓦葺きの屋根は少なくなってきていますが、こういった伝統的な技能を要する物件は未来永劫残っていくでしょうから、技能継承は必要不可欠なものです。
関係者の皆様のご苦労は大変なものでしょうが、今後とも頑張ってください。
ありがとうございました。
研修会の様子を写真集に掲載しました。
こちらからご覧ください。
初級伝統的瓦葺技能研修会@南大阪高等職業技術専門校
コメントフォーム