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粘土瓦産地大和製瓦株式会社

全国各地に点在する粘土瓦産地Locality of Clay Roof Tile

北海道

北海道産瓦の情報はありません。

青森県

青森県産瓦の情報はありません。

秋田県

庄内瓦

釉薬瓦
秋田県本荘市から山形県酒田市までの地域で最盛期は12社ほどが生産していました。
製造技術は北陸・越前山地から伝播したようです。
酒田市での生産は昭和60年で停止。
日本海岸最北端の産地でしたが、いまでは秋田県内の製造メーカー1社のみ。
寒冷地だけに耐寒性が売物で、凍害の心配がなく、丈夫。吸水率5%弱。
ブラックのドブづけ(両面施釉)、銀黒の片面塗りが主力商品。
すべて釉薬瓦和型53A形。

岩手県

岩手瓦

釉薬瓦
太平洋岸で瓦生産の北限。最盛期は戦前。
花巻、盛岡、遠野周辺に30社ほどメーカーがあったと言います。
益子焼の生釉を使い、登り窯で焼成していました。現在は遠野市で1社。
釉薬瓦和型56形ブラック、銀黒、赤瓦(チョコ)。
一部益子焼タイプの“来待”も注文生産。
寒暖の差がある地域なので、耐寒性があり、二階からの氷の落下にも耐えられる
強さ(曲げ破壊荷重270kgf)が特徴。

山形県

山形県産瓦の情報はありません。

宮城県

宮城瓦

釉薬瓦
昭和30年代創業の県内1社のみ。JIS規格・釉薬瓦和型53A形を生産。
いぶし銀が主力で赤瓦(チョコ)も一部。
東北6県、北海道、新潟にも出荷しているため、耐寒性が売物。

福島県

益子焼瓦

釉薬瓦
益子焼は栃木県の益子町が産地ですが、福島県で益子焼と同じ釉を使い、登り窯で還元炎により焼成する、固い耐寒性のある釉薬瓦。
福島県郡山市周辺でわずかに2社が製造。
今ではトンネル窯による和型釉薬瓦53A形(銀黒・いぶし銀)の生産が量的に大部分。一部フリット釉で益子焼色も出しています。
業界では「福島県産瓦」とPRしています。地元メーカー3社のほかに三州瓦メーカーの福島工場も2社あります。
いずれも耐寒性、丈夫で強い瓦がセールスポイント。

茨城県

茨城瓦

いぶし瓦
起源は奈良時代の国分寺建立にさかのぼります。いぶし瓦の和型53A形。
県央部の笠間、岩瀬、八郷、つくば周辺が生産地。
連合会会員は28社ですが、そのうち半分くらいが、実際に製造している窯元のようです。
原土の共同処理などで品質のバラつきも少なく、業界では茨城の風土にあった地場産業としてPRしています。

栃木県

栃木瓦

いぶし瓦
170年くらい前に現・栃木市箱森町で生産が始まったとされ、当時は“箱森瓦”と呼ばれていたようです。
いぶし瓦。現在の生産メーカーは3社。
施工兼業のため、工務店との取引関係が強いと言えます。
色のよさと変色しない点がセールスポイント。
三州タイプの和型53A形と小瓦の72形を生産しています。

野州(やしゅう)瓦

いぶし瓦
起源は明治時代にさかのぼるようです。
石灰石で有名な栃木県葛生の南、田沼町を中心としたいぶし瓦和型。
現在のメーカーは5社。
かつての64形から三州タイプの53A形へ大型化しています。
千葉県で遠州瓦と競合していた当時、耐寒性のある野州瓦は北側屋根に葺かれたと言います。
現在の市場は足利、桐生の地元のほか、茨城の一部。
組合団体なし。

群馬県

藤岡瓦

いぶし瓦・釉薬瓦
産地は藤岡市周辺と甘楽町が中心で、業界では群馬瓦としてPRしている
ようです。発祥は天平時代、国分寺建立の頃と言うから古い。
いぶし瓦が大部分を占め、釉薬瓦の生産は不定期的。
いぶし瓦は堅牢性、耐寒性、さらに表面光沢(サエ)の研究が進んでいるため、サエのよさが特徴。
和型53A形、56形ほか、洋風タイプの新製品も製造。

埼玉県

埼玉瓦

いぶし瓦
東京に最も近い産地。起源は奈良時代の国分寺建立の頃にさかのぼります。
美里町で鎌倉時代初期に瓦を焼いた跡(瓦窯跡)が発見されています。
いぶし瓦は最盛期、120もの生産業者を数えました。現在のメーカーは28社です。
地域名を冠した名称で呼ばれ、児玉瓦(児玉郡)、深谷瓦(深谷市、大里郡)、秩父瓦(秩父周辺)、武州瓦(比企郡、坂戸市周辺)、埼玉瓦(羽生市、行田市)の5産地から構成されます。
JIS規格に準ずる和型の53A形が主力で、出荷量は岐阜県と全国で3位、4位を争います。
「固く、錆びず、凍てない」のがセールスポイント。
釉薬瓦もかつて盛んに製造され、いまは解散してしまった組合に45社のメーカーが組織されていましたが、今では専業メーカーは児玉の1社(光褐色)のみ。
釉薬瓦に関しては最大の消費地を抱えるだけに、大産地である三州の攻勢を最も受けた地域と言えます。

千葉県

千葉県産瓦の情報はありません。

東京都

東京都産瓦の情報はありません。

神奈川県

神奈川県産瓦

いぶし瓦
首都圏・川崎のマンションが林立するなかで和型いぶし瓦を焼き続けている窯元が1軒。
地元の教育委員会から「残してくれ」と言われるほど、貴重な存在です。
創業は明治。ガス単独窯1基(1500枚収容)。
原料のねかし期間を長く取り、焼成・燻化も時間をかけてゆっくり。
凍害に強く、色が変わらないと言います。三州の53A形よりやや大きめの和型。

山梨県

山梨県産産瓦の情報はありません。

新潟県

安田瓦

還元瓦
新潟県北蒲原郡安田町で生産される還元瓦和型。別名、鉄色瓦。
起源は天保年間(1830~1843年)に越前から伝えられたと言われますので、越前瓦とは兄弟分の関係にあると見ることができます。
天然の褐鉄鉱や赤鉄鉱の生釉を施釉し、1200℃で還元をかけてこれを溶かし、光沢のある銀鼠色を形成させます。
初期の頃は釉薬原料として黄土が使われていました。北陸の気候、風土にあった耐寒性に優れた瓦と言えるでしょう。
生産メーカーは6社、すべてトンネル窯による生産。
和型の56形を中心に49形、53A形も一部生産されています。

陣ケ峰(じんがみね)瓦

釉薬瓦
江戸時代の文政元年の発祥と言い伝えられ、三州から来た瓦職人「喜六」と言う人物が始めたと言われます。
かつて12~13社を数えましたが、現在は新潟県の田上町で2社が生産。
能登瓦と同じ釉薬の瓦で、ブラックのドブづけ、銅線緊結工法。
能登の49形よりやや小さい50形、丈夫さがセールスポイントです。

富山県

とやま瓦

釉薬瓦
明治時代に富山県内35工場を数えました。能登瓦同様、釉薬のドブづけで黒、赤、銀黒。現在は富山県小矢部市周辺のメーカー4社で産地を構成。
北陸の気象条件に合った、耐寒性のある釉薬瓦和型を生産。
かつては49形の大きく厚みのある瓦で、雪国向けの銅線緊結工法でしたが、このサイズは全体の20%未満になり、三州タイプの53A形が増えつつあります。

石川県

能登瓦

釉薬瓦
石川県の能登半島で多量に生産されていた耐寒釉薬瓦。窯元数は昭和30~40年代が最多。
トンネル窯化で昭和50年代初頭に最多生産量になりましたが、以降は減少。
北陸特有の気候風土に根づいた大判の和型49形で、釉薬(黒・銀黒)のドブづけ。
施工は銅線緊結工法。厚みがあって風、雪に強く、流れの長い屋根にはよく使われます。
現在は加賀市の2社と能登の1社、計3社が生産。
他の加賀市にあるメーカーは53A形で両面施釉品を作っています。

福井県

越前瓦

還元瓦
福井県産の艶のない独特の銀鼠色の瓦で、「越前銀鼠瓦(ぎんねずがわら)」とも呼ばれます。
起源は江戸時代中期。最盛期の大正末期には200を超す窯元がありました。
酸化第二鉄の紅柄(べんがら)を主成分とした生釉をドブづけ、酸化炎と還元炎で焼成した還元瓦和型。
北陸地方の自然環境、風土に適した強度と耐寒性を有し、ユーザーから「積雪に強く滑らない」という評価の声が多い。
56形が90%で、三州タイプの53A形が一部。
メーカーは武生市、鯖江市と周辺に立地。

長野県

信州瓦

釉薬瓦
昭和30年代まで北信地域から南信まで広範な地域でいぶし瓦が生産されていました(約300社)が、現在はゼロ。
トンネル窯による釉薬瓦は30年代末期から始まり、3社ありましたが、現在は南信地区に1社のみ。
JIS規格・和型53A形、ほかに特注で64形。耐寒瓦としていぶし銀が主流。
洋風住宅向けの色にも対応しています。

岐阜県

美濃焼瓦

いぶし瓦
岐阜県で生産される社寺瓦を中心としたいぶし瓦の総称ですが、岐阜県産瓦と言う人もいます。
古瓦の出土から発祥は白鳳時代と推定されます。
よく焼き締められた、色もちのよい点が特徴。
形・模様などデザイン面に京都系、三河系の流れがありますが、いずれも手作り技術の伝統が継承されています。
本葺瓦のほか、桟葺きの和型72形、規格判(61枚/坪)、56形、尺判(48、44枚/坪)。

静岡県

遠州瓦・清水瓦

いぶし瓦
静岡県清水市周辺(清水瓦)と周智郡森町周辺(遠州瓦)のいぶし瓦産地でした。
かつて三州いぶし瓦に比べ、表面の肌のよさ、銀色の発色(サエ)のよさ、色の変わらない点が特徴でしたが、現在は産地としての形を留めていません。
清水市に2社(役物瓦専門)、浜松市に2社の窯元があります。

愛知県

東三河瓦

いぶし瓦
静岡の遠州産地と愛知県西三河、三州産地の中間に位置します。
愛知県の豊橋平野から渥美半島にかけては風が強い地域。
このため豊橋周辺では古くから、切り込みが深く、重なりが多い“56判目板”(両二寸)と称するいぶし瓦和型の足深桟瓦(本深切り)が生産され、土葺き工法とあいまって独自の市場を形成しています。

三州瓦

釉薬瓦・無釉瓦・いぶし瓦
愛知県刈谷市、高浜市、碧南市、半田市などを中心に展開する全国最大の産地。
「三州」という産地ブランドは著名。発祥は1700頃という説が有力です。
重量物という物流面のハンデもパレット化、帰り荷を活用できる立地条件でクリア、首都圏、中部圏ほか、北海道、九州にも販路を伸ばしています。
量産化、コストダウン、高品質化、新製品開発など技術革新に極めて意欲的で、億円単位のテレビ宣伝など企業活力は旺盛です。
釉薬瓦、いぶし瓦、無釉瓦のほかに全国で唯一となった塩焼瓦もここで作られています。
主力の和型は、ここでは53A形。本葺形、S形、スパニッシュ形の在来品から、ミッション形、平板、洋風の洋形新製品まで数多く、商品別に分ければ20種類を超します。
中心となる組合組織は昭和8年設立の「愛知県赤瓦工業組合」を前身とする「愛知県陶器瓦工業組合」で半世紀以上の歴史があります。
また産地の中心からははずれますが、武豊町に釉薬の特殊な耐震瓦を生産するメーカーがあります。

三重県

伊賀瓦・伊勢瓦

いぶし瓦
三重県の伊賀上野で生産されている和型いぶし瓦が伊賀瓦。
度会郡、伊勢市周辺の瓦が伊勢瓦。
県内にはほかに津市周辺などでも生産されていますが、最盛期の昭和30年代に比べると少なくなりました。
伊賀産地では100社ほどあったようです。
伊賀瓦は足深桟瓦(中深)の和型60形、耐寒性のよさが売物です。

滋賀県

八幡瓦

いぶし瓦
滋賀県近江八幡市周辺の300年以前からのいぶし瓦産地。
耐寒性があり、色もちのよい点が特徴。また一文字軒瓦の成型技術も高い。
現在は実質2社。和型53A形を中心に、社寺用の本葺形、和型56形、90形(門・塀)を生産。

京都府

京瓦

いぶし瓦
東山の清水焼以前から。生地の細かさ、磨きなど、外観と工事の優美さが特徴。
社寺向けの本葺形と和型64形のいぶし瓦を生産しています。

大阪府

泉州瓦

いぶし瓦
大阪南部の泉南郡深日周辺のいぶし瓦産地。
戦前は深日だけで30数軒の窯元がありましたが、現在は数社。
キメの細かい表面光沢(サエ)、磨きが特徴。和型64形を中心に56、72、100形も注文生産。

兵庫県

明石瓦

無釉瓦
現在組合員は12社ですが、製造は1社のみ。
二度焼き窯変タイプの無釉瓦で、形状はS形、スパニッシュ形、洋形を生産するほか、敷瓦もあります。

神崎瓦

いぶし瓦
兵庫県姫路市の北部で生産されているいぶし瓦。
凍てに強い、手間をかけた値のいい高級品。
戦前の最盛期は判の小さな瓦でしたが、最近は和型56形などに大型化しています。
JISメーカーは1社。

淡路瓦

釉薬瓦・無釉瓦・いぶし瓦
淡路島の基幹産業が瓦。
約1300年前の飛鳥・白鳳時代に端を発し、約400年前の慶長年間に西淡町津井を中心に発展し、享保10年(1725年)には淡路で46人の瓦師が16村で瓦を生産していたようです。
良質な原土資源の賦存と、京阪神という大消費地に近接している立地条件、海上輸送という大量輸送手段の存在などが大きな生産地を形成したと言えます。
三原郡西淡町を中心にほぼ全島にメーカーは点在します。
釉薬瓦は「色瓦」として多彩な色彩美を売物にしていますが、他産地の攻勢でシェアは減退気味。
しかし近年では耐寒性のある頁岩粘土の利用、洋風タイプの洋形開発で健闘中。
主力の和形は56形、53A形があり、主たる市場は京阪神と中国、四国、九州。
全国一の生産量を誇るのがいぶし瓦。
他産地の追随を許さない銀色のサエのよさが最大の売物。
大手トンネル窯メーカーを含む、300を超す単独ガス窯業者が支えます。
販路は拡大中で、最近では北関東にまで出荷されているようです。
こちらの和形形状は56形、53A形、60形と一部に64形。

奈良県

奈良瓦

いぶし瓦
天理市周辺の社寺用いぶし瓦中心の産地。
窯元は昭和20年代には130社を数えたと言われます。現在は5社。
文化財向けの本葺形主体で、別注品の専門生産を特徴とします。
なかでも8寸、9寸、尺の平瓦が多く、和型は坪当たり56枚、64枚、42枚判が中心。

和歌山県

打田瓦

いぶし瓦
和歌山県の那賀郡周辺で造られているいぶし瓦。
そのうち打田町には5社の窯元があります。
切り落としの和型56形、固く凍てに強いのが特徴。

鳥取県

鳥取県産瓦の情報はありません。

島根県

石州瓦

釉薬瓦
島根県の粘土瓦の歴史は天平年間(729~749年)の国分寺建立の頃までさかのぼれるようです。
石州瓦の始まりは元和5年(1619年)浜田城築城の際、大阪から瓦師甚太郎を招き、現在の浜田市浅井町で御用瓦を焼かせた時と言います。
登り窯は江戸時代後期、来待釉の登場は明治に入ってから。
トンネル窯第1号は山陰線・都野津駅前に昭和27年に築炉されました。
産地は都野津層と呼ばれる粘土の賦存状況に対応し、東の島根県大田市から西の浜田市まで帯状に展開します。
原料粘土の関係で製造は釉薬瓦のみ。
生釉を用いた石州来待瓦(柿色、別名赤瓦)は歴史が古く、西日本では石州瓦の代名詞でした。
近年の意欲的な設備投資と産地の協調体制により、立地条件の隘路を克服しつつ、全国第二位の産地に発展しました。
1200℃~1300℃の高温焼成による強固堅牢、凍害無用が特徴。
主力の和型は三州タイプより横長の53B形、一部に53A形。

岡山県

岡山県産瓦

釉薬瓦・いぶし瓦
トンネル窯メーカーはいぶし瓦と釉薬瓦で各1社、ほかにいぶし瓦の窯元は岡山市、総社市周辺に散在しています。
陶器瓦は寒冷地向けのJIS和型53A形。いぶし瓦は和型56形、64形。

広島県

広島県産瓦

いぶし瓦・還元瓦
広島市の東部、安芸津町や福山市でいぶし瓦和型の窯元が数社。
東広島市に来待釉を使ってトンネル窯で還元をかけ、来待瓦を生産しているメーカーが1社。
島根県に近い北部の甲田町に鬼瓦(釉薬瓦)の窯元が1社。

山口県

山口県産瓦

釉薬瓦
石州タイプの和型53B形釉薬瓦を生産するトンネル窯メーカーが1社のみ。

香川県

讃岐瓦

釉薬瓦・いぶし瓦
香川の粘土瓦の歴史も奈良時代と古い。香川県の旧国名は讃岐。
この国名を冠したいぶし瓦の総称が讃岐瓦です。いぶし瓦は丸亀、観音寺市周辺に30社ほど。
そのうちトンネル窯メーカーは2社。
大部分は和型64形を生産していますが、生産量的には64形、53A形、56形の足深桟瓦が三分の一ずつ。
福井県における10年以上の暴露試験で証明された耐寒性、淡路並みの白サエの銀色などが特徴。
釉薬瓦は3社で月産250万枚(桟瓦換算)、いずれも和型53A形で三州と同等の品質を誇ります。

徳島県

阿波瓦

いぶし瓦
徳島県全体の和型いぶし瓦を総称する名前はありませんが、強いて言えば旧国名の阿波瓦になります。
生産地は南部の阿南市、北部の鳴門市、中央部の麻植郡鴨島町、西部の美馬郡美馬町。
南部の瓦は「福井瓦」、北部では「姫田瓦」と呼ばれ、磨き、プレスの二度打ちなど手間をかけた特徴ある瓦が造られていましたが、現在では淡路の土を使ったガス窯による焼成に移行し、付加価値の高い役瓦の生産が多くなっています。

愛媛県

菊間瓦

いぶし瓦
淡路のいぶし瓦が白っぽい銀色のサエなら、こちらは同じサエの良さが売りでも黒っぽい。
菊間瓦の起源は平安時代の弘安年間ということが文献的に証明されています。
明治17年には三州いぶし瓦を押さえて皇居御造営の御用瓦の栄に輝きました。
生産地は愛媛県菊間町。
磨きの技術ほか、役物瓦の種類の多さにみられる通り、細工ものが特徴。和形64形を中心に門とか塀に使われる89形、91形なども製造しています。
ほかに県内では北条地区などでも生産され、全体的には愛媛瓦という名称になりましょう。

高知県

安芸瓦

いぶし瓦
台風対策で風雨に強いのが特徴のいぶし瓦。重なりが深い足深桟瓦で、施工はかぶせ葺き。
左に山がある通常の桟瓦のほか、右山の“左桟瓦”も多く使われます。
和型の64形と60形が主。施工兼業の6社が生産しています。

福岡県

城島(じょうじま)瓦

いぶし瓦
福岡県の生産地は城島町のほか、大和町、瀬高町で、総称して城島瓦と呼ばれます。
いずれも風に強く、雨漏りしないといった、九州地区の気候にあったいぶし瓦和型を生産。
全長、全幅は30.5cmですが、上りの重なりが大きく、葺幅は26.5cm、葺足が19.0cmの足深桟瓦。
従って見映えもします。
一方、八女市のメーカーはトンネル窯で釉薬瓦、いぶし瓦の和型を生産。

佐賀県

肥前瓦

釉薬瓦・いぶし瓦
佐賀市東部、福岡の城島産地に近いところでいぶし瓦和型を数社が生産しています。
最盛期は「肥前瓦」の名称で呼ばれていましたが、近年は窯元が減って産地の形を止めず、「城島瓦」として売られているようです。
大きさは56、53形両方ありますが、いずれも葺き上がりが64形になる足深桟瓦です。
56より53タイプが増えています。
一方、佐賀県西部の伊万里市には陶器瓦でJIS工場(53A形)を持つメーカーが1社あり、いぶし瓦和型も生産しています。
操業開始は昭和43年。地元ならではのアフターサービスがセールスポイント。

長崎県

長崎いぶし

いぶし瓦
佐賀県の有田焼きの産地に隣接した佐世保市にいぶし瓦和型の専業メーカーが1社。
三州、石州の53形と同じ大きさですが、台風対策で“九州判”とも言われる足深桟瓦を生産しています。91年の台風19号でも被害に遭わなかったと言われます。

熊本県

熊本県産瓦

いぶし瓦
かつて同県のいぶし瓦は「宇土瓦」、「益城瓦」、「八代大村瓦」と地域名称で呼ばれていましたが、現在は産地縮小であまり使われなくなりました。
組合には宇土市、八代市、益城市などのメーカー9社が加入しています。
共同の原土処理工場を持ち、十分に焼き締められた、凍てないいぶし瓦を生産。
業界ではセメント瓦との価格差縮小に伴い、耐久性を強調してPRしています。
種類は和型56形と足深桟瓦(働き長さ6寸5分×働き幅8寸5分、葺き上がり64枚)。

大分県

坂ノ市瓦=神崎(こうざき)瓦

いぶし瓦
大分県の大部分を占める地域の旧国名が豊後。
豊後瓦の歴史は慶長7年(1602年)にさかのぼると言われます。
豊後瓦から、神崎瓦へ、そして坂ノ市瓦へ産地の縮小とともに名称が変わってきました。
大分市の東部、坂ノ市で生産されているいぶし瓦和型が坂ノ市瓦と呼ばれます。
このいぶし瓦は葺き足が短く、重なりの大きい80形が特徴ですが、最近では64形も半分くらい作られているようです。
生産業者約10社。

宮崎県

宮崎瓦

釉薬瓦・いぶし瓦
いぶし瓦メーカーは全県下に散在しており、40社弱。
都城市に近い山之口町に多くの窯元が稼動しています。
量産型のメーカーは53A形、他は53や56、60形。
九州地区でも風がさほど強くない関係からか、足深桟瓦の生産は少ないようです。
昭和30、40年代に「窯から出てくるのを待たねば手に入らなかった」こともあり、瓦の需要が根強い地域。
「良質の原料で他産地に劣らない製造工程」と業界ではPRしています。
釉薬瓦メーカーは1社(JIS和型53A形)。

鹿児島県

日置(ひおき)瓦

いぶし瓦
鹿児島県西部、薩摩半島で造られるいぶし瓦が日置瓦。
発祥は明治の中期といわれる伝統ある産地。窯元14社。
共同の原土処理工場を持ち、重なりが深く(9cm)、台風銀座と言われる鹿児島の風土にあった和型の足深桟瓦を生産しています。

鹿屋(かのや)瓦

いぶし瓦
こちらは鹿児島県東部、大隈半島の鹿屋市周辺で造られるいぶし瓦和型。窯元は8社。
日置瓦同様、64形が主力。変色が少なく、風に強い。
二段切り込みで、重なりも9cm以上の“風雨防瓦”という製品もあります。

沖縄県

沖縄赤瓦

無釉瓦(素焼本葺瓦)
与那原地区に製造業は11社。
クチャと呼ばれる海成堆積物の泥岩を原料に素焼きの本葺瓦が主力。
セメント漆喰仕上げ、屋根飾りのシーサー(獅子)が特徴的な景観材料。

「屋根の知識」(宮野秋彦監修・日本屋根経済新聞社)より引用

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