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棟耐震(加振)実験を見学@京都大和製瓦株式会社

category : お知らせ, イベント, 更新履歴 2012.3.16

去る2月16日(木)に京都府瓦工事協同組合で行われました、全日本瓦工事業連盟関西ブロック技術委員会・PR委員会共催の、瓦葺き棟積み耐震(加振)実験を見学してまいりました。

大阪からは、私が会長を務める大阪府瓦屋根診断技士会と、野水君が部長の大阪府瓦商工業協同組合青年部との共催見学会として、バスを手配して参加。どうせならと、午前中には東映太秦映画村に・・・こちらの施設内には、メンバーである藤本窯業さんと伊勢瓦店さんの施工された物件があるとのことなんで、そちらの見学も兼ねて。

映画村では、東映所属の役者さんによる、無料の案内ツアーがあるので、まずはそちらへ。
この日は、平井 力(ヒライ ツトム)さんなる役者さんが案内してくれました。案内役は日替わりだそうです。

時代劇はもちろん、ドラマやバラエティにも数々出演されているそうで、バンドを組んでミュージシャンとしても活動されている彼のブログはこちら→Deck Insite
喋りも達者で面白く、裏話なんかも紹介して結構楽しめましたよ。
映画村での写真はコチラに掲載しております。
東映太秦映画村散策ツアー@京都市右京区

ツアーの後は、メンバー施工物件の見学を・・・と、たまたま探偵ナイトスクープのロケが行われてて、探偵は間寛平でした。
その後、昼食も済ませ、いざ実験会場へ。

全瓦連関西ブロックの技術・PR委員会共催で、京都の組合の事業場を借りての実験。
建物も立派ですし、訓練施設も充実してるし、加振実験装置も装備されているし、実に羨ましい限りです。
今回の実験には、近隣の各単組からも多数の参加者があり、内容も充実しており、京都の組合の方の手際の良さもあり、有意義な見学となりました。実験内容の詳細については、追って主催者側から映像と数値を交えて配布されるかと思いますので、そちらでご確認いただきたいのですが、まずはここで簡単に紹介しときますね。

■棟瓦および棟積みの仕様を変更して、a-iの9台の試験体を実験。
■まず縦方向に加振の後、横方向(棟と垂直)に0.5G-3Gまで5段階に加振。
■加振限界は想定震度7で、阪神淡路大震災クラスの振動である。
■それぞれの段階での鬼、のし、丸、地等の振動・破損状況を目視にて4段階で評価。
■評価の記録員は若干名(定かではありません)

試験内容は概ねこんな感じだったと記憶しています。

次に、試験体の仕様ですが、共通している仕様として

■平瓦=53枚判、gのみ平板(a-gは1枚葺き、h・iは2枚葺き)
■平部緊結方法=釘止め
■鬼、巴緊結方法=在来仕様(g該当なし)
■棟熨斗=淡路産在来品(cのみ三州産ツメ有、g該当なし)
■段数=5段積(g該当なし)
■緊結間隔=1枚毎(a、c、fなし)
■緊結方法=混在(大廻し<ヤジキタ<ガイドライン工法)※ヤジキタとは、左右ののし瓦を銅線にて互いに緊結する方法
■緊結用具=銅線#19、線径1mm(gのみパッキンビス)
■棟金具(補強材)=なし(dは棟補強金物と垂木600mmピッチ、eは鉄筋12mmを2段と巴釘600mmピッチ)
■葺上=袋土(fは南蛮漆喰、h・iは飛び土=ちょぼ置き)
■棟冠瓦=紐丸(gのみ三角冠)
■緊結方法=混在(大廻し<トンボ<頭天止め)
■緊結材料=銅線#19、線径1mm(d・gはパッキンビス)

表を文字に著すと非常に解りにくいですね。

要は、
(a)は、昔々の、のし瓦も紐丸も大廻し。
(b)は、その後の、のし瓦はヤジキタで紐丸はトンボ。
(c)は、大廻しだが、のし瓦は三州産のツメ有製品を使用。
この3つの試験体に関しては、加振限界に至るまでに崩壊が始まり、最終的には棟は全損。非常に危険だと感じました。

(d)は、ガイドライン準拠工法で、棟に補強金物と垂木を入れ紐丸は頭天からパッキンビスで緊結。
(e)は、滋賀県での仕様らしく、棟に補強金物ではなく鉄筋を2段入れ、それを巴釘に緊結。紐丸はトンボ。
(f)は、昔の大廻しの緊結ですが、葺土に南蛮漆喰を使用。
この3つの試験体は、結構頑丈でした。(e)の棟に関しては、(d)のガイドライン工法よりも強かったかも。
驚いたのは(f)の南蛮漆喰仕様で、もしかしたらこれが一番強かったかも知れません。というのも、棟の崩壊は台熨斗がズレることによって加速するので、南蛮漆喰で台熨斗が動かないと・・・しかも、2段目以降の上の熨斗も接着力および緊結が強固だと、棟は崩壊しないと考えられます。
ただ、南蛮漆喰に関しては、経年劣化によってその接着力が弱まっていくのが難点といえば難点かと思われます。

(g)は、平板に三角冠ですので、これも破損はなかったみたいです。

(h)(i)に関しては、追加された試験体だそうで、東北や北関東で従来見られた工法(のし瓦の葺土が飛び土=ちょぼ置き)での施工で、昨年3月の大震災の検証もかねての試験だったかと思われます。結果に関しては、想像通り非常に弱いものでした。

記憶に頼って書きましたので、不確かな点があるかと思われますがご容赦くださいませ。

写真を掲載しておりますので、ご覧ください。
瓦葺き棟積み耐震(加振)実験@京都府瓦工事協同組合

最後になりましたが、確実に言えることとして、ガイドライン工法ではない施工方法で葺かれている屋根(平部および棟部)は、風にも弱いですし、振動にも弱いことは間違いないです。特に平部が土葺きのままであるとか、棟の台土が練土で棟も大廻しの緊結方法である屋根は、非常に危険です。
すぐにでも葺替することをお勧めしたいです。しかし、ある程度金額の掛かる作業(買い物)ですし、自分の家の屋根の状況がどうなのか解らないというのが、一般の消費者の方のご意見だと思います。
そういう場合には、ご一報くだされば、屋根の診断はもちろん、ご相談やお見積りにも無料で対応させていただきます。
お困りの方、お悩みの方はコチラへ。

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